13年ぶりの優勝を決めた花咲徳栄の選手たち=県営大宮

(5日、春季埼玉県高校野球大会決勝 花咲徳栄20―6昌平)

 打ち出の小づちのように、安打が飛び出した。

  • ポーカーフェース貫いたもう一つの意味 元阪神・能見篤史さんとヤジ

 花咲徳栄は1点リードで迎えた三回、6番横山翔也からの4連打と犠飛で3点を奪った。勢いは四回、さらに加速する。8安打に4四死球も絡めて驚異の10得点。早々に試合の流れをつかみ、13年ぶりに春の埼玉を制した。

 大振りせず、この試合で放った23安打のうち21本が単打で計20得点。相手エースが登板しなかったとはいえ、低反発バットの影響を感じさせない強烈な当たりを連発した。

 岩井隆監督は言う。「うちの選手がやってきたバッティングとバットが合っている。ビッグイニングをつくるには、つながる怖さを見せるのが大事だと思っている」

 毎年、春の県大会は野手に送りバントのサインを出さない方針だという。

 「バントじゃ打つこと覚えないからね」

 打者有利の傾向がある夏を見据え、冬場に磨いてきた打力を発揮する場と位置づけている。

 とはいえ、ただがむしゃらにバットを振るだけではない。走者が二塁にいる場面では、バスターで右方向を狙うなど、状況に応じた打撃を意識する。プロ注目の4番打者、石塚裕惺も例外ではない。

 決勝は強風。風の影響を考慮して強く低い打球を打つという監督からの指示に、選手たちは高い技術で応えた。

 関東大会出場をかけた準決勝は、山村学園を相手に九回から試合をひっくり返した。主将の生田目奏は「ヒットの延長で」大会2本塁打を放ち、「上位でも下位でもチャンスをつくれる打線になれた」と自信を深めた様子だ。

 2017年夏の甲子園、1試合平均10得点以上を記録して埼玉県勢として初優勝した。岩井監督は言った。「甲子園に行くだけじゃなくて、勝つことを求められている。夏はもっと打ちます」(大宮慎次朗)

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