舞台版「未来少年コナン」劇場入り口に置かれたパネル=5月29日、東京・池袋の東京芸術劇場

 ホリプロ制作の舞台「未来少年コナン」を見てきました。詩的で美しいシーンがとても印象的でしたが、その半面パワーが不足。端的に言えば、コナンに野生児パワーがもっと欲しいのです。あとは椎名桔平さん痛恨のトチリ!(コレは最後にとっておきます)

 原作は宮崎駿さん初監督作として有名な、日本アニメーション制作のテレビアニメの金字塔。本欄で何度も取り上げていますが「どこを切っても宮崎駿」と言われるくらい宮崎さんらしさが詰まっています。孤島、大海原、田園の村、砂漠、巨大な塔と地下都市などが物語の舞台となり、作業船バラクーダ号、砲艇ガンボート、作業用機械ロボノイド、フライングマシン、空中要塞(ようさい)ギガントなど出てくるメカもてんこ盛りの全26話の大河SFドラマをどう舞台化するのか、興味津々で5月29日に池袋の東京芸術劇場へ見に行きました(公演は5月28日~6月16日)。

 幕が開くとまずは1枚の書類をひっつかんで科学者たちが侃々諤々(かんかんがくがく)。これが無言劇というかダンスで、やがて響く轟音(ごうおん)! 大量破壊兵器により多くの陸地が海にのまれた破局を示唆します。ダンサー出身のインバル・ピントさんが演出(ダビッド・バンブッフさんと共同)、振り付け、美術を担い、随所に彼女らしさ――「省略と洗練の美」と言えばいいんでしょうか――が出てきます。

 おじい(椎名さん)と孤島「…

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