飛び交う同音異義語。しりとりのように重ねられていくセリフ。聞き取れないほど同時多発的に繰り出される言葉。シーンは繰り返されるうちに少しずつ変容して時間軸を揺さぶり、舞台で動く役者に映像を重ね合わせる演出は、虚と実をあいまいにする。独特の世界観は熱心なファンを生んだ。どこか懐かしくもあるそんな作品を作り続けた天野天街さんが7月7日、64歳でこの世を去った。
愛知県一宮市出身。1982年に「少年王者舘」(当初は「少年王者」)を立ち上げ、名古屋を代表する劇団の一つに。自身も劇団内外で精力的に活動した。澁澤龍彦の小説を元に、名古屋市の公園で繰り広げられた壮大で幻想的な野外劇「高丘親王航海記」、岸田國士戯曲賞最終候補作となった、2人の男の謎めいた過去を巡る「くだんの件」、しりあがり寿さんの漫画を原作に海外でも好評を得た「真夜中の弥次さん喜多さん」、子どものものと思われがちな人形劇を、大人も楽しめる糸あやつり芝居にして話題を呼んだ「ITOプロジェクト」への参加――。
舞台以外でも多才だった。ぱっと見ただけで「少年王者舘」とわかるほど特徴的な、ノスタルジックな公演ポスターはコラージュによる自作。監督を務めた短編映画「トワイライツ」は海外の映画祭で受賞を重ねた。
名古屋の小劇場「七ツ寺共同…