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日本学生野球協会の表彰者に選ばれた興国高硬式野球部の佐伯知哉選手=2025年1月16日、大阪市天王寺区の興国高、渋谷正章撮影

 日本学生野球協会の2024年度の表彰者に、興国高(大阪市天王寺区)硬式野球部の佐伯知哉選手(3年)が選ばれた。高校野球は各都道府県、大学野球は各リーグから年に1人選ばれる表彰制度で、学生野球の名誉とされる。佐伯選手は「本当に自分かと驚いた。うれしい」と喜びを語った。

 佐伯選手は大阪市城東区出身。市立菫中(城東区)から興国高に進み、一昨年8月から昨夏まで主将を務めた。身長155センチと小柄で、控えの二塁手だったが、チームをまとめあげ、一昨年秋には大阪3位で近畿大会に出場した。昨春の近畿大会府予選でも準優勝に輝いた。

 高校の表彰者はプロ野球阪神にドラフト2位で入団した今朝丸裕喜投手(兵庫・報徳学園高)や、昨夏の全国選手権で選手宣誓役を務めた智弁和歌山高の辻旭陽主将ら、甲子園で活躍した選手が選ばれることが多い。佐伯選手は甲子園出場こそないものの、勉強でもクラス上位の成績を残すなど、学校生活の頑張りも評価され、府高校野球連盟から推薦された。

 佐伯選手は「120人以上の野球部員の意見をまとめていくのは難しかったが、練習態度や声など、普段の姿勢で引っ張っていくことを心がけた」と話す。テスト前は練習グラウンドへ移動するバスの中でも教科書を開くなど、時間の使い方を工夫していたという。

 喜多隆志監督は「私が伝えたいことを全て先に選手へ伝え、体現してくれた。率先して嫌われ役をした佐伯主将を他の部員も理解し、チームが結束した」とたたえる。

 高校卒業後は関西大学に進み、硬式野球部に入る予定。佐伯選手は「この3年間で学んだことを生かし、大学で勉強を重ねたい。興国でチームに貢献する喜びを知ったので、将来は人のために尽くす仕事がしたい」と抱負を語った。

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