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珪藻土のれんがから製作したポット=2024年10月9日、金沢市小立野2丁目、砂山風磨撮影
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 「下を向いてばかりではいけないので、イベントに出店することにしました」

 石川県珠洲市にある能登燃焼器工業の4代目、舟場慎一さん(43)からうれしいメールを受け取ったのは、9月初旬のことだった。

 同社は、山から塊のまま切り出した珪藻土(けいそうど)を成形し、窯で焼き上げる「切り出し七輪」で知られる。

 だが、元日の能登半島地震で工場や窯は全壊。珪藻土を採掘する坑道の入り口も埋まった。

 珪藻土の地層に沿って、山には総延長数キロの坑道があるという。入り口を切り開いても、地震の影響で再び崩れる可能性を考えると、採掘には入れない。5月の取材時、舟場さんは再起に向けて「案がない」と肩を落としていた。

 あれから4カ月。メールには、倒壊した工場の下に残っていた珪藻土のれんがで植物用の「珪藻土ポット」を作って販売するとある。金沢美術工芸大学の学生らが協力。淡いクリーム色の風合いと手触りにぬくもりを感じる。

 新たな一歩となる出店日は9月21日だった。金沢市の隣、野々市市で開かれたイベントに舟場さんも参加した。

 その日、能登北部を記録的な…

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