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能登半島地震から1年が過ぎた。被災地は昨年9月には豪雨にも見舞われ、複合災害となった。今後も各地でこうした複合災害は起こりうるのか。石破茂首相が設置を掲げる防災庁は、複合災害にどう対応していけばいいのか。複合災害に詳しい中林一樹・東京都立大名誉教授に聞いた。
「連発」の懸念
――能登半島地震の被災地は、8カ月後に豪雨にも見舞われました。この災害をどう見ましたか。
「複合災害となったことで、被害が拡大し、災害対応がより困難になりました。被災者から見ると、地震で一部損壊した家屋が、豪雨による土砂崩れで全壊するといったように、同じ人が2度被災し、被害が甚大になる『同時被災型複合災害』となりました」
「行政にとっては、地震の罹災(りさい)証明など様々な対応をする中で、さらに災害対応業務が求められました。『同時対応型複合災害』と言いますが、行政への負荷が高まり、人手の不足が拡大しました。人を割けず、復興も遅れてしまいます。被災者、行政、どちらの側面から見ても深刻な状況です」
――複合災害は珍しい例なのでしょうか。
「いいえ。例えば、2020年には熊本県で、熊本地震の復旧・復興期に新型コロナウイルスが蔓延(まんえん)し、水害も発生しました。11年の東日本大震災では、東京電力福島第一原発事故が起きた。04年の中越地震では、地震前に豪雨、地震後に豪雪。私たちの調査では、戦後に限っても30を超える複合災害が日本各地で起きています」
――今後も起こりうると考えますか。
「気象災害は激甚化、頻発化…