沖縄県議選の選挙ポスターが貼られた掲示場=2024年6月12日午前11時16分、那覇市、小野太郎撮影

 一部の離島を除き16日に投開票される沖縄県議選(定数48)は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題を対立軸とする県政与野党のどちらが過半数となるかが焦点になっている。だが、県政野党の自民は政党色を薄め、玉城デニー知事を支持する県政与党は「辺野古」よりも自民党派閥の裏金問題を徹底的に批判。従来と少し異なる選挙戦が展開されている。

 「『自民党』という逆風の選挙。裏金問題で連帯責任を負わされている」

 告示直前の5月末、沖縄本島南部のホール。3期目を目指す自民現職は、集まった支持者らに恨み節を吐いた。

 集会で配った政策パンフレットには石破茂・元幹事長と握手する写真が載っているが、「自民党」の文字はない。「自民党ダメだね」「自民党帰りなさい」。裏金問題が発覚すると、地元を回るたびにそう言われてきたという。陣営関係者は「(自民を)わざわざ前面に出す必要はない」と言った。

 改選前の県議会の議席数は、与党24、野党24。「辺野古反対」を掲げる玉城氏にとって、県議会で少数与党となれば、議会運営の主導権を失い、移設工事を進める政府への対抗策が制限されかねない。「民意に反する」と批判されてきた岸田文雄政権にとっても、今回の選挙は重要な意味を持つ。

 だが、自民系の候補たちは裏金問題による逆風に直面している。これまでも辺野古問題をめぐる政権への反発にさらされることはあったが、今回は党中央の「失態」のあおりを受けている形だ。各党の幹部が続々と沖縄に駆けつける中、自民党幹部の姿は街頭で全く見かけない。自民県連関係者は「党幹部の応援は全部断っている」と明かす。告示前の3日に県内を訪れた小渕優子・党選挙対策委員長は県連の会議に出席したものの、街頭演説などは行わなかった。

公明の山口代表も街頭で自民非難

 連立政権を組む公明は、逆風…

共有
Exit mobile version