白血病患者に骨髄移植をした後の重い副作用として知られる「移植片対宿主病(GVHD)」の原因に、毒性の強い腸内細菌がかかわることを大阪公立大と東京大のグループが見つけた。治療法開発につながる可能性も動物実験で示し、英科学誌ネイチャーに発表した。
GVHDは、移植した免疫細胞が患者の組織を攻撃して起こる。GVHDで死亡するリスクを高める要因として、骨髄移植後に特定の腸内細菌が増えることが報告されていた。
詳しく調べるために、グループは骨髄移植を受けた患者46人の便を解析、10人からエンテロコッカス・フェカーリスというこれまでGVH病との関連が疑われていた細菌を見つけた。
患者の便からとれた細菌には、細胞を傷つけたり、ほかの微生物を溶かしたりする毒性があるとわかった。この細菌が体の細胞を傷つけ、免疫の働きを活発にしてGVHDのきっかけになる可能性が考えられた。
そこでグループは、無菌状態で生まれたマウスに毒性のある細菌だけを定着させてGVHDを起こすと、他の細菌を定着させたマウスより生存率が下がることを確認した。
毒性のある細菌を殺すとどう…