2022年公開の映画「天上の花」の脚本家が、脚本を同意なく改変されたとして制作会社と配給会社、指導に当たった脚本家の荒井晴彦氏を訴えた裁判が大阪地裁で争われている。焦点の一つは、著作権法が保護している「同一性保持権」だ。
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同一性保持権は、著作権法の第20条に規定がある。著作者が、その著作物の同一性を保持する権利を持っているとし、「意に反して変更、切除その他の改変を受けないものとする」としている。小説家や漫画家、脚本家ら著作者の名誉や評価を守る「著作者人格権」の一つだ。著作権使用料を受け取る根拠となる「財産権としての著作権」とともに、作り手の権利として保護することで、文化の発展につなげるのが目的だ。
ただ、映画やテレビの制作現場では、脚本は、脚本家と監督・プロデューサーとの協議で改訂が重ねられるほか、撮影後の編集で1シーンが丸ごと削られるなど、結果として脚本と異なる内容となることも少なくない。
脚本家にとっては、監督ら他のクリエーターとの共同作業で作品がよくなっていく喜びがある一方で、自分のオリジナリティーを守るためには、監督らを納得させる脚本を書かないといけないというプレッシャーもある。
「日本の著作権法は国際条約より強い保護」と専門家
一方で、近年は脚本家ら当事…