元日の能登半島地震以降、休まず営業を続けながら、9月の豪雨で被災し休業していた石川県輪島市町野町で唯一のスーパー「もとやスーパー」が30日、復活オープンした。待ち構えていたなじみ客らで店内がにぎわった。
9月の豪雨で近くの川が氾濫(はんらん)し、流木がガラス戸を突き破って1階部分が浸水。商品は流された。本谷一知社長(46)は別の場所での再建も考えたが、ボランティアらが全国から集まり、泥をかき出したり建物の修理を手伝ったりしてくれて、同じ場所での再開にこぎつけた。
豪雨以来、支援物資が集まり、連日炊き出しが行われ、地域の人たちが集まる場所でありつづけた。「日本全国や、ここ町野の人たちの優しさ、気持ちに応えたかった」と本谷さんは言う。
土砂崩れや道路の復旧は道半ば。雪が降れば地域は再び孤立しかねない。それまでに食料や生活用品をそろえておきたかったという。「ここに明かりがついていることで、みんなに安心してもらいたかった。ここからみんなで頑張っていこうという第一歩にしたい」
仮設住宅から訪れた垣内すず子さん(68)は心待ちにしていた刺し身を購入。鮮魚担当が隣町の同県能登町宇出津から仕入れ、「最もおいしい切り方」にこだわって提供する刺し身は、もとやの売りの一つだった。「生鮮食品はなかなか手に入らなかった。復興の証しというか、ここまで進んで、本当にうれしい」と話した。