能登半島地震・豪雨の被災地では、過去の災害から、集落再建のあり方を学ぶ動きが出ている。
9月中旬、石川県輪島市門前町の柴田寿美香さん(59)ら女性5人が新潟県長岡市山古志(旧山古志村)を視察した。20年前の中越地震で、全村避難の状態から復興を果たした地域だ。
5人が暮らす道下(とうげ)地区は、能登半島地震で多くの家が全半壊し、大きな被害を受けた。柴田さんは小中学校の給食調理員で、避難所で炊き出しを担った女性たちに声を掛け、地区の将来を考えるグループ「笑haha(わはは)とうげ組」を立ち上げた。
グループは、地域のつながりを取り戻そうと住民を招き、お茶会を開いた。山古志の視察は、能登に似た中山間地の被災地の復興状況を見てイメージをつかもうと、グループを支援している金沢市の国際NGO「TLAG」の紹介で実現した。
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視察では、復興交流館「おらたる」で、被災から復興に至る経緯を学習。再建された集落を見て回り、地元の女性らが、村おこしのために開いた農家レストラン「山古志ごっつぉ!多菜田」を訪れた。
代表の五十嵐なつ子さん(73)は「女性が元気なら、みんな楽しくなる。苦難はいっぱいあるが、自分のできることをやればいい」と激励。柴田さんは「復旧・復興の道筋が少し見えた。協力してくれる人を増やし、一歩ずつ進めたい」と話した。
中越地震の被災地では、住民が元の集落で暮らす「現地再建」と、中心市街地近くの住宅団地にまとまって移る「集団移転」といった対照的な方法が採られた。
「現地再建」を選んだ旧山古…