地震で地盤隆起した海岸に生えたカボチャ=2024年8月2日、石川県輪島市皆月地区、高木政喜さん提供

 能登半島を取材で回っていると、昨年元日の地震で地盤隆起した海岸や、以前は荒波をかぶっていたであろう磯に、草が生えて緑化した光景をよく見かける。数千年に一度とも言われる地殻変動のなか、自然の生命力に専門家も驚いている。

 「うそだろって思わず声が出た」

 そう話すのは、石川県自然史センターの元理事長で顧問の高木政喜さん(82)=金沢市、元生物教諭=だ。

 高木さんは、地震後、海沿いで最大5メートル以上隆起したとされる輪島市で、沿岸に植物が生えているとの情報を得ていた。昨年6月末、向かったのは半島北西部・同市門前町の黒島漁港だ。

 海水がなくなった港内に、イネ科のヨシが青々と茂っていた。河川や池の近く、湿地に生える種類が多かったが、休耕田に生えるケイヌビエや、荒れ地で育つアレチギシギシの姿も。

 約500平方メートルの海底だった場所に、少なくとも27種類が育っていることがわかった。近くには乾ききった貝類が転がる不思議な世界だという。

 オオバコやイタドリ、ヨモギ…

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