思い通りに物事が進まない。そんな時こそ、学生には気づきや学びがある。昨秋、早稲田大法科大学院の学生らによる能登半島での「復興支援クリニック」に同行し、改めて実感した。
学生らと訪れたのは、地震と豪雨で大きな被害が出た石川県能登町。仮設住宅で学生が直接被災者に会い、雑談しながら法律関係の相談にも乗る「おしゃべりカフェ」を取材した。取り組みの主な狙いは、被災者とやりとりし、実際の仕事の場面でどんな知識や配慮が必要か、を考えることだ。
能登町では1カ所目の仮設住宅団地で、さっそく想定外のことがあった。事前に伝えていたのに会場には誰も姿を現さない。平日のお昼時。元気な人は働きに出て、わずかなお年寄りしか残っていなかった。次の団地では「待つだけでは集まらない」と、仮設住宅を1軒1軒訪問。声をかけて回ったが、思うように人が集まらなかった。
3カ所目では、ちょうど茶飲…