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浸水で泥だらけになった谷内仁志さんの自宅1階。断水で、清掃は諦めたという=2024年9月29日午後5時22分、石川県輪島市町野町、村井隼人撮影
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 記録的な大雨に襲われた能登半島で、大規模な断水が続いている。元日の地震による断水は5カ月後の6月に山間部など一部を除き解消したが、豪雨で再び被災した。自治体は復旧を急ぐが、住民らの落胆は大きい。

 9月29日、石川県輪島市町野町の自宅に21日の豪雨後初めて戻ったという谷内(やち)仁志さん(58)は「これはどうしようもない」と立ち尽くした。近くの川が増水し、1階部分が浸水。床は泥まみれになっていた。

 シャベルで泥をかき出そうとしたが、断水で水が出ず、諦めた。「地震から少しずつ立ち直ってきたのに。生活再建は厳しい」。自宅で寝泊まりできず、車中泊を続ける。

 県と市町によると、今回の豪雨で県が把握できたピーク時(9月24日)で5216戸が断水。10月2、3日時点でも1869戸で断水が続く。

 被害の大きい輪島市町野町では、取水する河川が流木であふれ、取水口が泥でふさがれた。河川と並行して設置された水道管が護岸ごと流されたり、橋に設置された管が大量の流木で押しつぶされたりもした。

 輪島市の担当者は、修繕箇所に残された大量の流木が復旧作業の障害だと指摘する。「水道の復旧業者も流木の撤去は専門外。重機を扱える別の業者にお願いするしかない」。市内の断水解消のめどは立たないという。

 「早くとも11月下旬になる…

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