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能動的サイバー防御(ACD)法案に関する自民党の合同会議であいさつする木原稔・安全保障調査会長=2025年1月30日午後、東京・永田町の党本部、鈴木峻撮影

 政府は30日、サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(ACD)」導入に向けた関連法案を自民党部会に示し了承された。国がネット上の通信情報を収集・分析し、攻撃元のサーバーに侵入し無害化できるようにする。憲法が保障する「通信の秘密」に配慮し、政府の運用をチェックする独立機関「サイバー通信情報監理委員会(監理委)」の設置などを盛り込んだ。政府は来週中にも法案を閣議決定し通常国会に提出する。

 監理委は、原子力規制委員会や公正取引委員会と同様に独立性の高い「3条委員会」とする。政府の運用状況をチェックし結果を国会に報告する。不適切な運用が確認された場合は政府機関に是正を勧告する権限も持つ。専門家ら計5人の委員で構成し、国会の同意を得て首相が任命する。

 攻撃元のシステムに侵入して無害化する措置は、監理委の承認を得たうえで警察と自衛隊が実施する。「高度に組織的かつ計画的」なサイバー攻撃には、首相が自衛隊に「通信防護措置」を命じる規定を設ける。政府関係者によると、侵入・無害化などに対応する警察と自衛隊の合同拠点を、東京・市谷の防衛省周辺に設置する方向だ。

 法案では、電気や鉄道、通信…

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