来園者に声をかける佐藤瑠姫さん=2024年4月19日午後、名古屋市港区、小玉重隆撮影

 職場の身だしなみに関するルールを、働く人に委ねる「自由化」の動きが広がっている。髪色が選べるスーパーや小売店では、接客のきっかけが生まれたり、採用増につながったり。従業員のモチベーションアップという当初の目的を超えた効果も生まれている。

 「自分らしい姿で最高のおもてなしを」

 スーパーなど51店舗を展開する「アオキスーパー」(名古屋市)は、パート・アルバイトの求人サイトでそう発信する。4月から身だしなみルールを一部緩和した。

 「衛生的かつ清潔」「お客様に不快感や威圧感を与えないこと」などを前提に、髪色は「見た目で明るくない色」としていたが、「自由」に。生鮮部門は異物混入など安全・衛生上の理由でアクセサリー禁止だが、レジ係は食品を傷つけないよう突起のない指輪なら可、ネイルもつけ爪などの装飾以外なら可となった。

 アオキスーパーの店員の伊東匠さん(24)は髪色を黒からシルバーに変えた。

 高齢者が多い店舗で最初は客やほかの店員にどう思われるか気になった。だが、ネガティブな反応はない。逆に「いい色だね」と客との会話の糸口になり、商品を勧めやすくなったという。

 「アオキスーパーは地元に根付き、古くからのお客さんがいる」と伊東さん。だからこそ、「髪色で判断されないように清潔な雰囲気やいい接客をさらに心がけたい」。

採用にも好影響

 ルールの緩和は、全国のスーパーにも広がる。

 昨年には「ベルク」(埼玉県鶴ケ島市)、新潟・長野・富山の3県で展開する「原信」(新潟県長岡市)と「ナルス」(同県上越市)、宮城・福島両県で展開する「フレスコ」(福島県相馬市)でも始まった。

 東海地方を中心にスーパー「アピタ」や「ピアゴ」を運営する「ユニー」(愛知県稲沢市)は2022年11月、服装のルールを緩和し、髪色も自由化した。髪色を「派手」にする場合は「店で一番元気なあいさつと好印象な接客を心がける」とした。

 ピアゴの店舗でおもちゃ売り…

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