連載「凄腕しごとにん」 清水建設・金久保仁さん

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清水建設社寺建築・住宅部工事長の金久保仁さん。数十年から100年単位の周期で行う伝統建築の解体保存修理は、過去に手がけた職人たちの「語りかけ」と向き合う時間でもあるという。後方は増上寺三解脱門=東京都港区、葛谷晋吾撮影

 東京都心の一等地にそびえる高さ21メートル、幅19・5メートルの入り母屋造り、朱漆塗りの増上寺三解脱(げだつ)門。徳川幕府の助成で1611(慶長16)年に建立された門で、国の重要文化財となっている。今年度から始まるこの門の修理でも支援を求められた。これまで伝統建築の修理や復元の陣頭指揮のため現場に立った日数は、6925日にのぼる。

 清水建設には創業者がもともと宮大工だった流れをくみ、社寺建築の施工部署がある。そこで一目置かれる存在、いわばマイスター。これまで法華経寺祖師堂(千葉)の保存修理、天皇陛下即位に伴う令和大嘗宮(だいじょうきゅう)(東京)の祭場となった木造殿舎約30棟や靖国神社参集殿の新築のほか、出雲大社(島根)の修理も率いてきた。

 伝統建築の修理は数十年から100年おきの大事業。修理箇所や期間も想定して始めるが、木造は簡単ではない。「解体しないと分からない点が多い。腐食やシロアリ被害が見つかる場合も多いんです」

 解体は大仕事となる。まず建物の状態を把握し、解体後の何万点もの部品一つ一つに番号を付け、元通りに戻せるよう図面を作る。腐食部分のみを取り除くのか、交換すべきかの決断も迫られる。同時に全国から宮大工や左官、建具、屋根職人の腕利きをその都度選定。「職人のオーケストラ」を組み、指揮者となる。

 この世界では遅咲きだ。工業…

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