自身が開発したデフ陸上用のスタートランプを手にする竹見昌久さん=2024年3月1日午後4時49分、東京都杉並区の都立中央ろう学校、松田果穂撮影

 耳の聞こえない陸上選手のためのスタートランプをつくりたい――。

 そんな目標に向け、東京都立のろう学校陸上部の顧問、竹見昌久さん(50)は動き出した。きっかけは、教え子が流した涙だった。

 いまから15年ほど前。ろう者の大会で優勝経験もある女子生徒が、耳が聞こえる選手も出場する短距離走の試合にのぞんだ。

 陸上競技のスタートの合図は、ピストルと審判の声だけだ。耳が聞こえない選手は周りを見て走り出すため、遅れてしまう。周囲の様子を確認しようとすれば、その時点でスタートの姿勢も崩れる。

 この日、竹見さんからみても…

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