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決勝進出を決め、喜ぶ聖光学院の選手たち=ヨークいわきスタジアム

(18日、高校野球秋季東北大会準決勝 聖光学院7―1山形中央)

 勝てば選抜大会出場を確実とする大一番は、試合前から雨模様だった。回を追うごとにマウンドがぬかるむ中、聖光学院の左腕大嶋哲平(2年)は「無になって」集中した。

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 横手投げで、直球は最速130キロと決して速くない。その分、丁寧にボールを操る。直球、チェンジアップ、スライダー。ベースの横幅を目いっぱい使って投げ分け、テンポ良くストライクを稼いだ。

 野手陣は雨で送球がすっぽ抜けないようにバウンドさせるなど工夫し、無失策の堅守でもり立てた。六回まで二塁すら踏ませず、九回を1失点。大嶋は1四死球の完投。今大会を通じて、22回3分の2で四死球はわずか2だ。

 「(秋の大会はどのチームも)やっぱり、未熟だからね」と斎藤智也監督は言う。新チームが発足してまもない秋は特に、失策や四死球などで「自滅しない」ことが勝ち抜くポイントになる。

 チームの「財産」になったのが、準々決勝の仙台育英(宮城)戦だった。好投手にわずか4安打に抑えられ、先行を許した。だが、二つの押し出し四死球で五回に逆転。無失策の守りで粘り勝った。

 「うちが完全に押されながらも、試合をものにした。ああいう野球を経験させてもらったのがきょうにつながった。(チームの完成度は)夏にはまだまだ程遠いけど、秋の段階にしてはいい感じ」。斎藤監督はそう手応えを得る。

 来春の選抜大会で、東北地区の一般選考枠は「3」。2022年春以来の選抜出場が濃厚となった。「まだまだ未熟なんで、もっともっと強くなっていきたい」と大嶋。20日、東北王者の座をかけて、青森山田―花巻東の勝者との決勝に臨む。(大宮慎次朗)

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