北海道と東北の高校野球チームが交流する初めてのイベントは4日、福島県いわき市のヨークいわきスタジアムで最終日の2試合があった。参加した4校の中で唯一、明治神宮大会(今月20日開幕)に出場する聖光学院(福島)は、北海に4―3でサヨナラ勝ちし、2連勝で大会を終えた。
聖光学院は、秋季東北地区大会で仙台育英(宮城)と青森山田をいずれも3―2で破った。この日の北海戦も3―2で九回を迎えたが、2死から追いつかれた。その裏の攻撃に、聖光学院のしぶとさが凝縮した。
先頭打者が出塁すると、前打席で一時同点の適時三塁打を放った主将の竹内啓汰(2年)が打席へ。ヒットエンドランのサインに応え、ボール気味の球に食らいついて一塁内野安打として一、二塁。ここで代打に起用された小林海童(2年)が投手と三塁手の間の絶妙な位置に強いバントを転がし連続の内野安打。満塁と好機を広げ、細谷丈(2年)が中前に転がしてサヨナラ勝ちした。
斎藤智也監督は七回に逆転した後も「追いつかれると思った」と事もなげにいった。取れるはずの点を取れず、競り合いの展開になったからだ。
九回裏の攻撃で光ったのは、選手層の厚さだ。バントのために起用された小林は、走者を送るだけでなく自らも生きる最高の結果をもたらした。3日の試合で途中出場し、決勝の2点本塁打を放った大宮行雲(2年)は、この試合で先発出場して2本の二塁打を放った。
竹内は「背番号が1桁でも2桁でも、どの選手が出ても同じことができる。チーム内の競争は激しい」と手応えを口にする。
一方で、この日初戦の相手が東洋大姫路(兵庫)に決まった明治神宮大会に向けては、主将の竹内も、斎藤監督も口をそろえて、さらなるレベルアップの必要性を強調する。
「全国から見ると、聖光学院は守備が良くてちょこちょことした攻撃をするチームという印象だと思う。2週間あるので、この試合の九回の攻撃のようにうまくつなぐためにレベルアップできることはある」
もう1試合は花巻東(岩手)が7―6で札幌日大を破り、2連勝とした。(八鍬耕造)