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全国で老人ホームなどを展開する金沢市の会社が、診療報酬約28億円を不正に請求した疑いがあることがわかった。同社は入所者1人の紹介に対し、100万円の紹介料を支払っていた。
この会社は19都道府県で63カ所の老人ホームや訪問看護事業所などを運営する「サンウェルズ」(東証プライム上場)。同社は昨年9月、不正請求の疑いがあるとする報道を受けて特別調査委員会を設置。調査委は今月7日、調査報告書を公表した。
1人当たりの診療報酬、「合格ライン」は81万円
報告書によると、同社はほぼ全ての施設で、入所者への訪問看護について、実際は1人で実施したのに複数で訪問したように装うなどして、計約28億円を不正に請求した疑いがある。入所者の状態に関係なく、1日3回訪問看護する「設定」になっていた。同社は経営戦略として、入所者1人当たりの1カ月の診療報酬について、「合格ライン」を81万円としていたという。
同社は主にパーキンソン病専用ホームを展開し、同社の資料によると同ホームの定員は1650床(昨年3月時点)。この病気では訪問看護の回数を多く設定でき、多くの診療報酬につながる。
入所者紹介業者に高額支払いも
また、同社は朝日新聞の取材に、紹介業者から入所者を紹介された場合、1人に関し100万円を支払ってきたことを明らかにした。「現在の方針としては、100万円という高額な紹介手数料を支払う必要のあるような紹介は受けない」とした。
厚労省は、老人ホーム事業者…