佐藤慎也館長がスチレンボードで制作して、館銘板に貼り付けていた「美」が展示されている=2024年6月10日、青森県八戸市、伊藤恵里奈撮影
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 330円の「美」が作れます――。青森県八戸市の八戸市美術館で、いま一番売れている公式グッズが「館長の美」制作キットだ。ことの発端は、雪が残るある日、入り口にある「八戸市美術館」の銘板から「美」の字が消えたことだった。

美術館の「美」が突然消えた

 「美」がなくなったのは今年3月11日未明。見回り中の警備員が気づき、警察に届け出た。

 銘板はステンレス製。2021年にリニューアルオープンして以来、来館者を出迎えてきた。コンクリート壁に穴を開け、接着剤で打ち付けていた。

 「雪が解けたらすぐに見つかると思っていた」と副館長の宗石美佐さん。だが、4月になっても「美」は行方不明のままだった。美術館は市役所に面している。美の不在に、八戸市民はすぐに気づいた。

 「美術館の『美』だけがない」とSNSでも話題になった。「よりによって、なぜ美だけが……」と、関係者は頭を抱えた。

 4月3日、1級建築士の資格…

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