電力

 災害時でも電力を安定的に供給するため、休止中の火力発電所をすぐに稼働できるようにしておく「予備電源」の整備が進んでいない。国は維持費の面倒をみる制度をつくったものの、電力各社からの応募は1件もない状態だ。各社は経営効率化のため、コストの合わない発電所を廃止してきた。この制度でも採算が取れないとし、応募を見送った可能性がある。

 この制度は、2年前におきた電力不足をきっかけに導入された。地震による火力発電所の緊急停止や電力需要の増加が重なり、国は「需給逼迫(ひっぱく)警報」を初めて出した。そうした事態を防ぐため、電力会社に予備電源を確保してもらい、送配電事業者から集めたお金で、維持費をまかなう仕組みをつくった。

 制度を取り仕切る国の電力広域的運営推進機関によると、2025~26年度分の予備電源として、東日本、西日本で100万キロワットずつを募っていたが、今年9月末の締め切りまでに、応募がなかった。応募の際には維持費を算定する必要があるが、電力業界から上限価格の設定が低すぎるとの指摘も出ている。

 16年に電力小売りの全面自…

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