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あすを探る 中室牧子さん

 20年後には生産年齢人口が1400万人も減少し、あらゆる職場で5人に1人の割合で働き手が減るという。多くの国民が利用するような「公共サービス」をもっと効率化することが急務だ。岸田政権下で発足した「デジタル行財政改革会議」の目指すところでもある。この会議が短期間で多くの成果を出したことは評価したいが、今後も継続的に議論していくべきだ。

6人の論壇委員が交代で執筆するコラム「あすを探る」。今月の筆者は、経済・教育担当の慶応大学教授・中室牧子さんです。

 まず、給食費や健康保険料などの公金納付は、依然として納付書が紙で届き、金融機関の窓口などで納付して、控えを保管するといったことが散見される。納付する国民の側の手間だけでなく、行政側でも金融機関から回付される紙の通知書と入金情報の突合という膨大な作業が発生している。

 次に、死亡や相続の煩雑で非合理な手続きに驚かされた人も多いだろう。死亡した人の戸籍謄本、原戸籍謄本、除籍謄本などを取り寄せて法定相続人を特定し、死亡した人の財産を調べなければならないことが、相続を受ける側の負担となっている。全ての手続きを終えるのに1年かかることもあるという。企業が個人の死亡日などの情報にアクセスできないため、保険金の支払いや携帯電話の解約にも、遺族などからの申し出が必要で手間がかかる。

 そして、高校入試である。受…

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