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昨年10月からの開始に先立って開かれた茅ケ崎市の中学給食試食会=2024年8月24日、茅ケ崎市役所分庁舎、足立朋子撮影

 国会で学校給食の無償化に向けた議論が進むなか、いまだに全員制の中学校給食を実施していない市や町が残る「給食後進県」の神奈川県が揺れている。国に先駆けて無償化に乗り出す自治体がある一方、無償化の動きを素直に喜べない自治体もある。

 「本当は全学年で実施できたらいいのだが、うちの財政事情ではこれが精いっぱい」

 相模原市の担当者はこう話す。市は新年度予算案に4月から小学1年生の給食を無償化する費用(2億4096万円)を盛り込んだ。小学校入学時はランドセルや体操服、教材の購入があり、家計の支出が急増するため、1年生を対象としたという。

「川を渡れば無償、渡らなければ有償」

 背景には、激しさを増す子育て世帯の争奪戦がある。東京都では給食を無償化する自治体が相次ぎ、隣接する町田市や八王子市も実現している。

 本村賢太郎市長は記者会見で「(市境にある)境川を渡れば無償化、渡らなければ有償って、ちょっとそれは。(国が)みんな一律にやっていただければ」と話した。

 県内では厚木市や南足柄市、中井町、箱根町などがすでに小中学校の給食を無償にしており、松田町も来年度から無償化する予定だ。

 自民党と公明党、日本維新の会が2月25日に交わした合意文書は、給食の無償化について2026年度から小学校で実施し、中学校への拡大はできるだけ速やかに実現すると盛り込み、無償化の機運は高まっている。

無償化は「事実上の全員制」?

 ただ、利用するかどうかを選…

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