石川さゆりさん。紅白歌合戦で「能登半島」を歌う=2024年12月29日午後3時29分、東京都渋谷区、宮田裕介撮影

 大みそかに放送される第75回NHK紅白歌合戦のリハーサルの2日目が29日、東京都渋谷区のNHKホールであった。初出場の緊張、能登半島への思い……。出場歌手たちがそれぞれの意気込みを語った。

こっちのけんとさん「ご、郷ひろみさん?」

 リハーサル2日目のトップバッターは、初出場となるこっちのけんとさんだった。歌唱する「はいよろこんで」は、YouTubeで1億回以上再生され、サビの「ギリギリダンス」というフレーズと、サビにフィーチャーしたダンスがTikTok(ティックトック)などで話題を呼んだ。

 本番では、豪華な出演者たちをバックに歌を披露する。この日は、出演者の名前がわかるようにしたスタッフが、代役となるリハーサルだった。

 こっちのけんとさんは「リハーサルで(歌手名の)文字を見て、緊張しました。『ご、郷ひろみさん? 天童よしみさん?』となりましたけど、おびえないように戦い抜く。年末になるにつれて踊ってくれる人が豪華になっていく」と喜び、「(『はいよろこんで』は)1年間ずっと歌い続けてきた。熟練度マックスの歌を披露できれば」と語った。

三山さん、今年もけん玉披露 人生に通じる「慌てず、焦らず、諦めず」

 紅白出場10回目の節目を迎える演歌歌手の三山ひろしさんは、2回目の出場からけん玉を披露することが恒例になった。今年は「恋…情念~第8回 けん玉世界記録への道~」と題して、再びギネス世界記録に挑む。

 昨年は128人連続での成功を目指し、一度は「成功」と判定されたが、映像のチェックが入って失敗となった。

 取材会でも、三山さんは華麗なけん玉さばきを披露。ギネス世界記録への準備については、「けん玉は、慌てず、焦らず、諦めず。この三つの言葉は人生にも関わってくる大事な要素です」と語り、「昨年は残念ながら記録更新ならずでしたが、今年はしっかり決めまして、良い2025年を迎えたい」と話した。

ミセス大森さん、祖父の代からのはんてんでリハ

 2回目の出場となるMrs. GREEN APPLEは「青と夏~ライラック 紅白SP」を歌唱する。ビルボードジャパンの年間総合ソング・チャートのトップ10に4曲も入るなどヒットを連発した。

 はんてんを着用して取材会場に登場したボーカルの大森元貴さんは「祖父から続いているはんてんで、家で楽曲の制作時にも着ている自前のもの。こういう場は緊張しちゃうので、いつもの感じで来ようかなと思ったら、そのまま来ちゃいました」と明かした。大森さんは続けて「怒濤(どとう)の1年でした。濃密でした。今月が何月か分からなくなるくらい。昨年(の紅白は)すごく楽しかったので、今年も精いっぱい楽しみたい」と語った。

 昨年の紅白直後の1月1日に地震があった能登半島の被災地への思いを込めて歌う歌手もいる。

坂本冬美さん、能登から生中継「泣かずに歌いたい」

 坂本冬美さんは、石川県輪島市から「能登はいらんかいね」を生中継で届ける。

 今回坂本さんは、能登の「御陣乗(ごじんじょ)太鼓保存会」のメンバーとパフォーマンスを披露する。紅白で同曲を歌うのは、1990年以来34年ぶり。「去年は紅白を楽しまれた翌日にあのような悲しい震災が起きてしまった。悲しみだけではなく、また一から頑張ろうという気持ちを歌に乗せてお届けできれば。とにかくしっかりと泣かずに歌うことがまず一番の目標かな」

 出場者の中で最多の47回目の出場を数える石川さゆりさんは、2007年以降、「津軽海峡・冬景色」と「天城越え」を交互に歌ってきたが、今年は「能登半島」を03年以来21年ぶりに歌唱する。

 「ずっと、代わりばんこで歌ってきましたが、今歌わずして、いつ歌うんだと。とにかく能登の皆さんに元気になっていただきたい」

 被災後の避難所生活を実際、自分の目で見てきたという。「仮設住宅で暮らす人にとって、テレビはしっかりと楽しい気持ちを届けられるツールなんだなと思った。紅白歌合戦、音楽の役目を現地に行って実感しました」

 また、輪島塗の職人たちとも交流をしてきた石川さんは、今回の紅白の出場者たちに、輪島塗の漆器をプレゼントするという。「自分ができることをみんなが少しずつできることをやっていければ」

共有
Exit mobile version