米国の雇用統計が予想外に底堅い内容だったことで、4日のニューヨーク外国為替市場で大幅な円安が進み一時、約1カ月半ぶりに1ドル=149円台まで下落した。利下げは景気や雇用には追い風だがインフレ(物価高)を再燃させるおそれがあるため、専門家から9月の大幅利下げは「間違いだった」という指摘も出ている。
米労働省が4日朝に発表した9月の雇用統計は、就業者数が6カ月ぶりの伸びを記録したほか、失業率も4.1%に改善。過去に発表された就業者数も上方修正された。米国の雇用情勢が底堅いことを示す内容で、利下げペースが遅くなるとの見方から米長期金利が上昇。金利の高いドルを買って円を売る動きが広がり、統計の発表前より2円ほど急落する場面があった。
米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は9月、「インフレのリスクは減り、雇用の下振れリスクが高まっている」(パウエル議長)などとして、大幅な利下げを決めた。利下げは4年半ぶりだった。
しかし、9月の雇用統計を受け、サマーズ元米財務長官は4日、X(旧ツイッター)で大幅利下げについて「後知恵だが、間違いだった」と指摘した。FRBは慎重に利下げを進めるとの見方が急速に広がっている。
米東部時間の4日午後5時(日本時間5日午前6時)時点では、前日の同時刻より1円66銭円安ドル高の1ドル=148円58~68銭で取引された。石破茂氏が自民党の新総裁に選ばれ円が急騰した先週末と比べると、約6円という大幅な円安ドル高が進んだ週となった。
株式市場では、景気の底堅さを好感して株式が買われた。主要企業でつくるダウ工業株平均は前日より341.16ドル(0.81%)高い4万2352.75ドルと、4日ぶりに史上最高値を更新して取引を終えた。(ニューヨーク=真海喬生)