2024年10月9日、ワシントンの米国防総省で面会した自衛隊の坂田裕樹統合幕僚監部報道官(右)と国防総省のパトリック・ライダー報道官=自衛隊統合幕僚監部提供

 ウクライナや中東などで戦乱が続くなか、安全保障分野を巡る国家や軍の報道・広報のあり方が問われています。自衛隊の坂田裕樹統合幕僚監部報道官(陸将補)は10月、ワシントンなどを訪れて米国防総省や米軍の関係者と意見を交換しました。坂田氏は「国民を欺くような情報発信は絶対にあってはならない」と語ります。

 ――米国出張について教えてください。

 メリーランド州のフォートミード基地にある、ディフェンス・インフォメーション・スクール(DINFOS)を訪れました。軍の広報を行うカメラマンや報道官を育てる組織です。

 この学校は、ディフェンス・メディア・アクティビティー(DMA)が統括します。DMAは、他にも放送局(AFN)や軍の準機関紙「星条旗新聞」なども傘下に収め、総員数は約1万6千人を数えます。全世界に展開する兵士や家族、米国民に、軍の透明性を担保する組織です。これらは日本にない組織です。

 国防総省のパトリック・S・ライダー報道官とも懇談しました。非常に冷静で物静かな人でした。空軍少将で30年以上も広報を担当しています。米軍では広報の職域が確立しています。

 ライダー氏は「自分たちの情報を開示することが国民への責務だ」と語っていました。「ワンボイス」を意識し、毎日、ホワイトハウスや世界の米統合軍などと連絡を取り合い、メッセージをそろえているそうです。

【連載】読み解く 世界の安保危機

ウクライナにとどまらず、パレスチナ情勢や台湾、北朝鮮、サイバー空間、地球規模の気候変動と世界各地で安全保障が揺れています。現場で何が起き、私たちの生活にどう影響するのか。のべ300人以上の国内外の識者へのインタビューを連載でお届けします。

 ――米軍と自衛隊の広報・報…

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