2025年1月31日、米ワシントン近郊のレーガン空港を飛び立つ旅客機とポトマック川の墜落現場=ロイター

 米国の首都ワシントンで1月29日に起きた旅客機と米軍ヘリコプターの空中衝突事故。専門家は「航空機事故は一つではなく複合要因によって起こる」と指摘する。今回、どのような要因が重なったのか。

■ヘリの飛行高度が高すぎたのか

 「ヘリコプターは(高度が)高すぎた」

 トランプ大統領は1月31日、記者団にそう述べた。「制限の200(フィート、約60メートル)を2倍も超えていた」とも語り、ヘリの飛行高度が問題だったとの見方を示した。

 今回、レーガン空港に着陸しようとしたアメリカン航空の旅客機(乗客・乗員64人)と衝突したのは、陸軍のUH60ブラックホークだった。陸軍によると、2機が衝突後に墜落したポトマック川上空の「ルート4」と呼ばれる経路をヘリは飛行。国防総省にも近く、要人の移動などのため1日に複数回、ヘリが飛ぶこともある場所だ。

 レーガン空港に離着陸する旅客機との衝突を避けるため、この空域でのヘリの最大高度は200フィート(約60メートル)と定められている。だが、ブラックホークは許可された高度を守らず、衝突につながった可能性が指摘されている。

 米紙ワシントン・ポストの報道によると状況はこうだ。100フィート単位でのヘリの高度表示の初期的なデータを見ると、衝突の1分前には200フィートで飛行していたが、30秒前に300フィート(約90メートル)に。その後、いったんは200フィートと表示されたが、再び300フィートに上がり、旅客機と衝突したという。複数の米メディアが、ヘリが予定の経路から外れていたとも伝えた。

 ヘグセス国防長官は31日、FOXニュースに出演し、「調査により、(ヘリの)高度が高すぎたのか、コース上にいたのかわかるだろう」と述べ、検証を進める考えを示した。

■航空管制塔に問題は?

 事故の背景としてもう一つ…

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