米ニューヨークで2024年4月23日、「人間の鎖」をつくって米国からイスラエルへの武器輸送に対して抗議する人たち=ロイター
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 米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)など米メディアは7日夜、バイデン米大統領が先週、イスラエルに提供する武器の輸送を一部停止したと一斉に報じた。複数の米当局者の話として、イスラエルが米国の反対を押し切って、避難民が集中するパレスチナ自治区ガザ南部ラファでの大規模地上作戦を強行し、米国製の武器を使うことを懸念したためという。

 昨年10月にイスラム組織ハマスがイスラエルに奇襲攻撃をしかけたことに端を発する戦闘では、ガザで3万4千人以上が犠牲になった。イスラエルを支援してきたバイデン政権が、武器の引き渡しを見送る決定をしたのは初とみられる。政権はパレスチナの民間人の犠牲を顧みないイスラエルの姿勢にいらだちを強めており、NYTは「戦争の進め方をめぐり両国の亀裂が広がっていることの表れだ」と指摘する。

 報道によると、米国がイスラエルへの引き渡しを見送ったのは、2種類の爆弾計3500発。バイデン氏は約150万人のパレスチナ人が避難するラファに投下されることを恐れたという。さらに、標的を正確に狙う精密誘導装置などについても、今後の供与を見合わせるべきかどうか検討している。ただ、すべての武器を停止するわけではなく、こうした爆弾を永久に提供しないと決めたわけでもないという。

 武器輸送の停止は米ネットメ…

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