LMN代表理事の遠藤英樹さん=横浜市

 子どもへの暴言や虐待を繰り返してきた親とは「もうかかわりたくない」と考える40~50代が、親の介護や葬儀、納骨を代行サービスに依頼する例が急増している。一般社団法人「LMN」(東京都)は、いわゆる「毒親」の被害者向けの相談室「家族じまいドットコム」を11日に開設する。

 東京都内に住む女性(50)は1年半前、父親の身元引受人になりたくないとLMNと契約した。

 「私の両親は、子どもの夢や人生をつぶす人たちでした」

 成績が良かった女性は高校受験の際、地元の進学校に進みたかった。だが「高校を出たら働け」と反対され、許されなかった。

 18歳で働き始め、すぐにも家を出たかった。だが経済的に難しく、両親との仲はさらにこじれていった。

  • 【記者サロン】さらば毒親 ご意見募集・4月18日~配信

 32歳のとき、母親が脳梗塞(こうそく)で倒れた。「このままでは私の人生は介護で終わる」。母親がリハビリ病院から退院する前に家を出た。

 当時、20代だった妹が介護を担当したが、「結婚したいな」とつぶやくと「私を捨てるのか」と怒鳴られたという。

 女性は妹の相談に乗りつつ、両親とは連絡を取らず、実家に帰省することもなかった。

 5年前に母親が亡くなり、一人暮らしをしていた父親も高齢者施設に入ることになった。

 妹は仕事の関係で、身元引受人になることを拒んだ。代わりに女性が引き受けたが、嫌悪する父のために様々な手続きをすることが耐えられず、インターネットで「毒親 介護」などと検索する中でLMNのことを知った。

 父親は今年1月に亡くなった。「抱え込まず、相談できる場所があるという安心感は大きかったです」

「親と関係を断ちたい」相談の8割

 LMNは2016年設立。もともとは身寄りのない高齢者向けの生活支援が目的だったが、最近は「親の介護をしたくない」「関係を断ちたい」といった相談が約8割を占めるようになった。

 代表理事の遠藤英樹さん(57)によると、相談件数は月60~100件。多くが団塊世代の親を持つ40~50代からで、以前は女性が約8割を占めていたが、この半年で男性からの依頼が急増し、最近は半々になった。

 依頼してくる人の事情はさまざまだ。

 親から電話やメールが来ても返さず、住所も伝えていないという人も少なくない。原因で一番多いのが、「教育虐待を受けていた」という訴えだという。

 「団塊世代の多くが、バリバリ働く父親と専業主婦の組み合わせ。父親はほとんど家に帰らず、母親が子どもの教育やしつけを引き受けてきた。こうした親から『女の子でもキャリアをつけないと駄目』などと厳しく教育されたケースが多い」

 度を越した厳しいしつけや暴言を浴びながら育った子どもが大人になり、「うちの家族は異質だった」と気づいて距離を取るようになる。

 にもかかわらず、親が「子どもが介護をするのは当たり前だ」と主張してさらに関係がこじれる――といったパターンが典型的だという。

緊急呼び出しにも対応、葬儀も含めた費用は…

 料金は、登録料やコンサルテ…

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