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婦人靴製造販売会社の株式譲渡契約を終え、記念写真に収まる売り手(右)と買い手=2023年10月24日、大阪市中央区、関係者提供

 大阪・船場のど真ん中に本店を構える大阪商工信用金庫。建築家の安藤忠雄が設計したビルの3階の応接室で、M&A(合併・買収)の売り手と買い手の候補を引き合わせる「トップ面談」があった。2023年9月20日午後6時のことだ。

 売り手の金融アドバイザー(FA)として大阪商工の担当者2人、買い手のFAとして仲介業者「M&A DX」社(東京)の担当者2人が同席した。

 婦人靴を製造販売する新宿屋(大阪市)の社長は、買い手候補として介護事業などを手がける会社の代表を紹介された。

 革靴のかかとがえらくすり減っているな、とは気づいた。だが、初めての体験に緊張し、売り手として確認すべきことなど何もわかっていなかった――。

「こんな会社をだれが……」

 老舗ブランド「新宿屋」の靴…

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