「私が事件に携わったのはほんの一部。別に隠すことなんてありませんから」
そう言って、実名で取材に応じた元捜査関係者がいた。
静岡県警刑事部の「法医理化学研究室」（科学捜査研究所の前身）の技官だった漆畑康徳さん（89）=静岡市。1966年のみそ会社専務一家殺害事件で、科学捜査の一端を担った。
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記憶に残る事件現場の臭い
工業高校電気科を卒業後、県警に一般職員として採用され、事務職を経て技術職になった。事件当時は31歳だった。
現場に赴いたのは、たしか発生の翌日。焼け焦げた被害者宅に入ると、きつい油の臭いがした。
現場から発見され、殺害の凶…
