石川県珠洲市出身で大学生起業家の浦純華さん。オンラインで幼なじみと今後の予定などを打ち合わせていた=2024年6月20日、大阪市住吉区、筋野健太撮影

 地震で傷ついたふるさとのために何ができるのか。大阪公立大学2年の浦純華さん(20)は、遠く離れた石川県珠洲市を思いながら、日々過ごしている。

 生まれ育った仁江地区は、中心市街地から山を越え、日本海に面した外浦側にある。

 同級生は保育所から中学校までずっと同じ4人。通っていた小学校は卒業と同時に閉校になり、その後、保育所もなくなった。「このままでは地域がなくなってしまう」と不安を感じていた。

 高校3年の夏、教壇に置かれていたチラシに目が留まる。この年、珠洲に本社機能の一部を移した医薬品販売会社が、高校生を対象に開く起業家養成のための研修の案内だった。「これだ」と、同級生で幼なじみの國永美海さん(20)を誘い、申し込んだ。

 國永さんが手伝いをしていた農園で、日に焼けて色落ちした特産のカボチャが、出荷されずに捨てられているのに心を痛めていた。2人は研修で、廃棄野菜を活用する事業計画を発表。最優秀に選ばれた。

 「行きたい就職先がないなら、会社をつくればいい」

 医薬品販売会社の社長の言葉にも背中を押され、高校を卒業した2022年3月、賞金を元手にして会社を設立。名前は、ポルトガル語でカボチャを意味する「アボボラ」にした。

 浦さんは大阪公立大、國永さんは北海道大学に進んだが、浦さんは夜行バスで何度も珠洲に戻り、準備を重ねた。

 ところが、規格外のジャガイモを加工販売する最初の事業でつまずき、資金はほぼゼロになった。

 「ここでやめたら、珠洲には…

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