桂川精螺製作所で「YAOKI」のネジ作りを体験する小学生(左)=2024年11月21日午後1時18分、東京都大田区、木佐貫将司撮影

 宇宙に希望を託しているのは高校生だけではない。戦後の日本経済を支えた製造業の衰退とともに、経営環境が厳しくなっている中小企業。宇宙に商機を見いだし、「メイド・イン・ジャパン」の世界の評価を再び高めようとしている。

 2024年11月21日、中小の製造業が密集する東京都大田区にある、特殊精密部品メーカー「桂川精螺(せいら)製作所」。ここで、区内の小学3年生約30人がネジ作りの体験をしていた。

 ただのネジではない。日本の宇宙ベンチャー「ダイモン」が開発した月面探査車「YAOKI(ヤオキ)」の部品になる。YAOKIは25年、月などの有人探査を目指す米国主導の「アルテミス計画」の一環で月に打ち上げられる予定だ。成功すれば、民間が開発した探査車として、世界で初めて月面を走る可能性もある。

 この4ミリほどのネジが、宇宙に行くかもしれない――。社員がそう話すと子どもたちはうれしそうに、専用の機械でネジを作っていった。ネジ作りを体験した小学生の一人は「月に自分の作ったネジが行くのはとてもうれしい。将来は宇宙飛行士になりたい」と声を弾ませていた。

近年厳しい状況に置かれている町工場。宇宙産業に活路を見いだすため、新たな取り組みを行う町工場が出てきました。記事後半では、そんな町工場の宇宙に対する思いや挑戦にさらに迫ります。

 1938年創業の桂川精螺製…

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