アリ・ビーザーさん(左)と原田小鈴さん(中央)、晋之介さん(右)親子。国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の追悼空間で、原爆が投下された時間に合わせて手をつなぎ、黙禱(もく・とう)を捧げた=2023年8月9日午前11時2分、長崎市平野町、黒田陸離撮影
  • 写真・図版

 広島・長崎への両方の原爆投下機に搭乗したジェイコブ・ビーザー氏の孫、アリ・ビーザーさん。原爆投下を承認したトルーマン大統領の孫や広島・長崎「二重被爆者」の孫らとともに平和活動をしていますが、原爆について「もっと多くの映画や物語が必要だ」と語っています。

(この記事には、映画の内容に触れる部分があります)

映画「オッペンハイマー」は何を描き、何を描かなかったのか。オッペンハイマーにゆかりのある米国人や在米日本人に聞いたインタビューシリーズの6回目です。

    ◇

 ――映画「オッペンハイマー」の印象を聞かせてください。

 核実験場の風下にいた先住民族や原爆が(広島・長崎に)使われて何が起きたのかを、もっと映画に盛り込むべきだったという人も大勢います。しかし、クリストファー・ノーラン監督が、原爆に生きたまま焼かれた想像上の人物の役に自分の娘を起用しているのは、彼がこのことをとても真剣に考えている証拠だと思います。

 映画のラストシーンでオッペンハイマーがアインシュタインにこう言う場面があります。「覚えていますか。核分裂連鎖反応を起こすことができたら、世界が終わるだろうと考えていたことを。我々は、やってしまったのです」と。この映画の焦点は、これに尽きると思います。

 ――映画の狙いは成功した、と。

 あらゆることを映画に盛り込…

共有