高野知宙さん=京都市内、本人提供

受験する君へ 作家 高野知宙さん

受験する君へ

本格的な受験シーズンを迎えました。各界で活躍する方々に、自身の体験談や受験生へのメッセージを聞きました。

 小学5年の夏、学校の授業が退屈に感じ、「中学受験したい」と自分から親に言いました。

 小学校の1学年100人くらいの児童のうち、中学受験するのは4、5人しかいないような地域に住んでいたこともあって、親は最初は信じてくれませんでした。でも、粘ったんですよね。そしたら、「あ、本気なんだ」って。秋から塾に通い始めました。

 もともと歴史好きで、国語と社会が得意でしたが、算数と理科の勉強が大変で。面倒見のいい塾でしたが、解けるまで帰してもらえなくて、帰宅が午後10時を過ぎることも。早く帰って寝たい一心で、場合の数の問題を全部調べ上げて109通り書き出して正解したこともあるくらいです。つらい時もあったけど、授業は楽しくて、通っているうちにだんだん成績が上がっていきました。

 志望校は、校長先生の話がおもしろくて、自由な校風で体育祭や文化祭などの行事が楽しそうだったので、渋谷教育学園渋谷中学に決めました。入学したら、同級生は勉強以外にも自分でプロジェクトを立ち上げたり、留学に行ったり、本当にやりたい放題な人が多くて。学校も生徒の学外での活動を奨励していて、表彰してくれるのですが、英語ディベートで日本1とか、すごい賞を取る人が多くて刺激になりました。

「三国志」にはまって小説を書き始め

 私が中高時代にはまったのは小説です。中学受験が終わった後、母から「三国志」を読むことを勧められ、それが転機になりました。三国志は歴史を広く浅く描いていて、物語の中でフォーカスされる人物は限られている。「一瞬物語に出てきて消えるこの人の人生が読みたい」と思って、中1の頃からいろいろ妄想をふくらませて「外伝」を書き始めました。

 三国志の次にはまったのが幕…

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