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高知県薬剤師会の西森康夫会長=2024年3月13日、高知市、川野由起撮影
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 自殺予防で重要とされる「ゲートキーパー(門番)」。悩みや孤独を抱えた人に気づき、声をかけて寄り添い、必要な支援につなげる役割を担う。薬局の薬剤師が、市販薬や処方薬の過剰摂取(オーバードーズ=OD)などで悩む人のゲートキーパーになることをめざし、高知県で取り組みが進んでいる。

 高知県薬剤師会は、約15年前から薬剤師の「ゲートキーパー化」に取り組んできた。理由は、自殺率の高さだ。高知県の人口10万人あたりの自殺者数は19.5人(2022年)で、全国平均17.4人に比べ高い傾向が続く。

 県は09年から自殺対策行動計画を策定し、相談体制の充実などに取り組んできた。その一環として、県薬剤師会は薬剤師を対象に年1回の研修を実施し、患者との対話のロールプレイングなどを実践的に学ぶ。

 薬剤師が患者とのやりとりの中で、「薬を受け取りにくる間隔が短くなった」「複数の医療機関から同じ薬を処方されている」といったことから、ODや自殺のリスクに気づくことがある。

 エール薬局あき店(安芸市)の田村昌士さんは、研修で学んだことをいかし、患者に寄り添った経験がある。

 その患者は高校生。薬局を訪れたとき、これまで処方されていた精神系の薬に加え、別の抗うつ剤が新たに処方されていたことに気づいた。

 「困ったときに相談できます…

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