東海道新幹線60年 #5
東海道新幹線が10月1日、運行開始から60年を迎えました。速度や乗り心地の「進化」の一方、リニア中央新幹線との共存や自然災害への対応といった新たな課題にも直面しています。東海道新幹線のいまを探ります。
最高時速およそ500キロ、品川―大阪間を1時間7分で結ぶリニア中央新幹線。そのいち早い開業を求める「期成同盟会」の総会が6月、東京・永田町で開かれた。集まったのは、愛知や静岡、大阪といった沿線自治体や国の関係者ら。その前月、リニアの静岡工区の着工に反対していた静岡県の川勝平太知事(当時)が辞任したことで、関係者の間ではリニア建設前進の機運が高まっていた。
リニアからの流れで、話題は東海道新幹線にも及んだ。
「高速交通が多重的に整備され、大規模災害時の人流、物流の途絶が回避されるようになる」。山梨県の長崎幸太郎知事はこう述べた。同県は期成同盟会の中で、リニア時代の交通体系の構想に関する研究会を主導している。そのとりまとめとして、東京―大阪間の大動脈である東海道新幹線に加えてリニアが開業すれば、災害など「いざ」という時にリスク分散できる――との趣旨だ。
太平洋沿いを走る東海道新幹線は、台風や豪雨、そして南海トラフなどの巨大地震への備えが常に求められている。運行開始から60年を経て、設備の老朽化も進んでいる。だからこそ、リニアには圧倒的な速度による輸送力と並んで、東海道新幹線の「バイパス」の役目を期待する声がある。
遅れるリニア開業
しかし、その全線開業の時期…