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 大自然の中でのびのび子どもを育てたい。子どもの自主性を大事にしたい。そんな願いをかなえるような、自然の中で子どもを育む「森のようちえん」が広がっています。

 団体によってその形態や内容は様々ですが、共通する特色や子どもの育ちで期待できること、検討する際に気をつけるべきポイントなど、上越教育大学大学院の山口美和教授(幼児教育)に聞きました。

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 ――「森のようちえん」は、自然の中で過ごす時間を大切にして幼少期の子どもたちを育む、子育て・教育スタイルの総称として使われていますね。

 発祥はデンマークと言われ、ドイツや北欧、韓国でも盛んです。日本では1970年代の終わりから80年代にかけて各地で始まりました。都市化によって外遊びをする子が減っているという課題意識からスタート。全国交流フォーラムなどが開催され、15年ほど前から数が急増している印象です。

 運営形態は幼稚園や保育園のような日中保育者が子どもを預かる形のほか、保護者が中心となって保育をする共同保育や自主保育、週末のみ開催するイベント型など多岐にわたります。

大事なのは「自然」だけじゃない

 ――自然との関わりを重視する以外にも、共通していることがあるそうですね。

 周辺の自然や地域資源を日常的に活用することはもちろん、子どもの自発的な遊びを重視し、生活を子どもと一緒に作りあげるという考え方が共通していると思います。

 具体的に言うと、大人が遊びをリードせず、子どもたちの中から生まれる試行錯誤を保育者は一歩引いて見守ります。その日のスケジュールを子どもと話し合いながら決め、子どもの自己決定を大事にします。

 子どもと共に保護者も育ち合う、保護者が積極的に保育に参加する、子ども自身が考えて行動できるような時間や空間を整えることに力を入れているところも多いです。

 ――森のようちえんで子どもを育むことで、子どものどんな力を伸ばすことが期待できるのでしょうか。

 非認知能力に影響すると考え…

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