一番下の子が、大学進学のため仙台市の家を出ていった、2012年の春だった。当時56歳の専業主婦だった女性は、二つ年上の研究職の夫から、突然メールで「一緒にいるのがつらくなった。離婚したい」と告げられた。理由をたずねても答えてくれず、夫は家を出て行った。
驚きつつも、心当たりはあった。半年ほど前から、夫のスマホの通話料金が急にかさみだし、月3万円をこえていた。別の女性の写真をスマホの待ち受け画面にしているようで、帰りが遅くなることも増えた。一度、長時間通話の理由をたずねたが、「仕事だよ」とそっけなく言われ、再び問い詰めることはしなかった。
いつからか夫とは、最低限の会話しかしなくなっていた。この先、子どもがいない家に2人でいても、何を話していいかわからない。離婚と言われて、正直ほっとしている自分もいた。
しかし後日、夫から示された条件に女性は目を疑った。住んでいるマンションの販売価格を査定した書類が突然届き、メールでこう告げられた。
「家を売ることにした。今月中に出て行ってほしい。でなければ、一切の生活費は払わない」
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夫とは、短大に通っていたと…