「ある程度覚悟はできていました。厳しいだろうな、コロナだからしょうがないなって」

 柳井萌花さん(22)は、浅草花やしきを拠点に活動していたアイドルグループ「花やしき少女歌劇団」に最後まで在籍していたメンバーの1人だ。

 2020年春。高校卒業とともに卒団するタイミングと、新型コロナウイルスの感染拡大が重なった。

 3月に予定されていた卒団公演は、曲目が決まって編曲も仕上がっていたのに、結局、見送られた。

 レッスンも休みになり、長い空白期間の後、22年夏、歌劇団の運営終了を知らせる一枚の紙が届いた。

「ステージに立ちたい」とがんばった

 小学1年生で入団。歌劇団での思い出は「めっちゃがんばったこと」だ。踊りも歌も、必死に練習した。とにかくステージに立ちたかったからだ。

 同じ4期生で大の仲良し村岡桃香さん(22)も同じだ。「負けず嫌いで、ステージに立てないと泣くくらいだった」

 歌劇団では1人の枠を5人で争うこともあった。特に、マイク付きヘッドセットは数が限られていて、「あれをつけてステージに立ちたい」と努力した。

 小さいころからダンスを習っていて、踊りには自信があった桃香さん。でも、歌は「めちゃくちゃ下手」。

 自宅で母親に聞いてもらって練習を重ねた。母親も「今のは違う、もう1回」と厳しかったが、必死だった。「ガチな世界だったけど、それに自分は燃えた」

あの日、抱き合って泣いた

 萌花さん、桃香さんの2人に…

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