兵庫県を襲った阪神・淡路大震災は衝撃的でした。約1カ月後に神戸に入ったら、勤めていた神戸新聞会館も大きな被害を受けていた。あんなににぎやかだった三宮や南京町も建物は壊れ、道はぼこぼこ。屋台には人があふれていたけど、なぜか静まりかえって不気味でした。

美術家・横尾忠則さんが半生を振り返る連載「自在に描き 時代を駆ける」。全5回の最終回です(2024年4月に「語る 人生の贈りもの」として掲載した記事を再構成して配信しました)。

 西宮市ではがれきに赤いランドセルやカレンダーが飛び散り、コップに一輪の花。涙が出ました。地元の作家とポスターのチャリティーを行いました。

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 実は震災の少し前に、神戸新聞から神戸への注文を書いてほしいって頼まれ、「六甲山の裏側は造成しすぎで、いずれ神戸は大きな被害を被るのでは」と書いたんです。震災後、この原稿は没になってしまいました。

 東日本大震災の被災地にも行…

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