何でこんなに変わらないのだろうか――。井上浩樹(こうき)(32)は、いとこの井上尚弥(31)について、そう不思議に思うことがある。2人は同じ大橋ジム所属のプロボクサー。世界のボクシング界のスーパースターになっても、尚弥は無邪気なままだ。
昨年5月6日の深夜、浩樹のスマホが震えた。
「集まっちゃう?」
この日、東京ドームの4万人以上の大観衆の前で、ルイス・ネリ(メキシコ)との防衛戦に勝利した尚弥からだった。
地元の神奈川・座間市のコンビニに、尚弥の弟の拓真を含めた3人で集まった。そして、駐車場でカップラーメンをすすった。
「尚弥が試合のあと、眠れないときによく招集がかかる。10分、15分しゃべって解散になるのだけど」
幼少期からずっと3人でボクシングの練習に明け暮れた。トレーナーは尚弥の父・真吾さん。練習メニューは厳しかったが、真吾さんがいないときはみんなでふざけ合った。「そのバランスがよかった。3人じゃなかったら、乗り越えられなかった」
- 「記憶力があり、計算も早い」と驚く恩師 井上尚弥へビジネスの継承
今も3人は毎朝、朝練をとも…