日本福祉大の藤森克彦教授=本人提供

 首都・東京で暮らす独居高齢者の割合が、2000年からの20年間で2.4倍に増えた。40年には世帯全体の15.8%に達するとも推計され、増え続ける孤独死や介護需要への対応が喫緊の課題となっている。

 だが、都知事選(7日投開票)での議論は少子化対策や再開発事業に比べて低調だ。「単身急増社会の希望」などの著書がある日本福祉大教授で、みずほリサーチ&テクノロジーズ主席研究員、藤森克彦氏は「現役世代が考えるべき問題」と警鐘を鳴らす。その理由を聞いた。

  • 歌仲間の孤独死に「明日は我が身」 増える独居高齢者、問われる支援

 ――東京都内で独居高齢者の割合が急増しています。

 国立社会保障・人口問題研究所が4月に発表した日本全体の将来推計によれば、世帯主が65歳以上の世帯に占める単独世帯(一人暮らし)の割合は、2020年の35.2%から50年には45.1%に達すると推計されています。

 特に驚いたのが、65歳以上の独居高齢者に占める未婚者比率の急上昇です。独居高齢男性に占める未婚者の比率は、20年は33.7%だったのが、50年には59.7%になるとされています。女性の未婚率は男性ほど高水準ではないのですが、20年の11.9%から50年に30.2%になるとみられています。

 未婚の独居高齢者は、配偶者だけでなく子どももいないことが考えられるので、今後、身寄りのない独居高齢者が急増する可能性を示しています。全国に先駆けてこの問題に直面しているのが、東京です。

 ――東京は全国でみても高齢化率が低いのに、独居高齢者の割合は高いのはなぜですか。

 東京は地方に比べて、未婚のまま高齢期を迎える人や、子どもと別居する高齢者の比率が高いことがあげられます。東京では多様なライフスタイルが広がっていることや、一人暮らしをしやすい生活環境が整っていることが影響していると思います。

 一人暮らしをするかどうか…

共有
Exit mobile version