愼允翼さん=2023年12月8日午後、東京都文京区、伊藤進之介撮影
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 愼允翼(ユニ)さん(27)は1歳5カ月の時、「脊髄(せきずい)性筋萎縮症(SMA)」という難病と診断され、重度の身体障害を抱えながら生きてきた。

 両手の指と、右ひじから先をわずかに動かすことしかできない。両足が動かないため、電動車いすで移動する。その中で、地元の公立小中学校に通い、高校受験も突破した。

 2016年、念願の東大に推薦入試で合格した。今は同大学院で18世紀のフランス思想や、哲学者のジャン=ジャック・ルソーを研究し、博士課程への進学を目指している。

 「ものすごく負けず嫌いで、根性がある」とは、指導教官の王寺賢太教授の允翼さん評だ。

 努力をし、自分の意見や考えをはっきり主張する学生だと感じる。「そうじゃないとこれまでやっていけなかったんでしょう」

 文学部では古典を精読し、作者や他者の声に耳を傾ける作業も大切になるという。「苦労をしているけれど、フランス語もだいぶ読めるようになってきた。文献と向き合いながら、彼自身の読み方が生まれてきたらいい」

  • 【連載初回】「この子の体、何かがあるよ」 ペンを持てない子が東大に受かるまで

東大に入って良かったことは

 允翼さんが東大に入って一番…

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