「最低賃金まだまだ足りない」とデモ行進で訴える若者ら=2016年7月

 徳島県で最低賃金(最賃)の大幅な引き上げが決まった「徳島ショック」は、世界的な最賃アップの流れの一例だ。本来は労使交渉や市場で決まる賃金に、政治や国家が介入を深めているのはなぜなのか。

 「1千円を超える形で決まるように強く望んでいる」

 7月5日。徳島地方最低賃金審議会の第1回会合に、県知事の後藤田正純の姿があった。

徳島地方最低賃金審議会の初回で「1千円超」への引き上げを求めた後藤田正純・徳島県知事(左から3人目)。右横は竹中郁子・徳島労働局長=2024年7月5日、徳島市、能登智彦撮影

 「中央最低賃金審議会で求めた目安をもとに、地方の最低賃金の引き上げを決めるのは時代から違う。地方から人口流出を防ぎ、人材をいかに確保していくか、ということに尽きる」

 最賃は、中央の審議会がA~Cの3ランクごとに示した目安を踏まえ、都道府県ごとの審議会が決める。その場で知事が発言するのは極めて異例だ。

 徳島の最賃は時給896円と…

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