「昼でなくても、居酒屋で夜の仕事をしてもええし。そこは言わんから法に触れることだけはあかん」。昨年2月、NPO法人「ぴあらいふ」の男性職員(55)が金髪で手にタトゥーを入れている男性(22)と向き合い、諭すように語りかけていた。

 男性は少年院を仮出所し、ぴあらいふが運営する障害者グループホームで暮らしていた。刑期満了まであとわずかだが、なにやら怪しげなアルバイトをしている様子で、バイト先を明かさない。繁華街で客引きをするキャッチグループを手伝っているようだった。男性から聞く限り、仕事の依頼の電話がかかってくるたびに、次の仕事内容を伝えられていた。

 職員はホームの管理責任者で、2016年のぴあらいふの発足当初から、創立者で理事の中岸宏隆さん(63)を支えている。住人に関するトラブルが持ち上がると、真っ先に駆けつけることが多い。

 20代の時、覚醒剤絡みの事件で逮捕された。暴力団の幹部になってからも、傷害と恐喝の罪で4年近く服役した。出所後しばらくして組を離脱。食べることにも困る日々を送っているのを見かねて、知り合いだった中岸さんが相談に乗ってくれた。

 「更生を助ける仕事を一緒に…

共有
Exit mobile version