カキを養殖する斎藤義己さん。カキの殻に付いた別の貝や汚れを取り除く作業をしていた=2024年6月8日午後4時14分、石川県穴水町、近藤咲子撮影
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 直径約3センチの大ぶりなソーセージにかぶりつくと、肉汁と同時にカキの濃厚な風味が口に広がる。表面に浮かぶ黒い斑点から、具にカキの身がふんだんに使われていることが分かる。

 原材料の40%が蒸しガキの「かきソーセージ」。石川県穴水町で特産の「能登かき」を養殖する斎藤義己さん(43)が商品化した。「味はカキそのもの。食べたら驚くと思います」と胸を張る。

 能登半島地震で激減した売り上げを取り戻そうと、自ら育てたカキの身を混ぜ込んだ。1パック2本入り(約150グラム)、税込み2千円。夫婦で営むカキ料理店「コーストテーブル」で6月下旬から販売を始めた。

 元日は金沢市内の妻の実家にいた。津波で船を心配したが、3日に穴水に戻ると無事に岸壁につながれていた。養殖用のイカダはロープが一部切れたが、カキは無事だった。

 「よかった」と胸をなでおろしたものの、店は土台が傾いていた。自宅も瓦が落ちて雨漏りし、半壊の認定を受けた。

 電気も水道も戻らないまま、17日に水揚げを再開。カキ殻の汚れを器具で落とし、いつでも出荷できるように備えた。

 1月は本来なら出荷の最盛期…

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