働き盛りの私たちは、親の老いとどう向きあったらよいのか。将来、介護が必要になる時に備えて、今何をしておくべきなのか。「親不孝介護~距離を取るからうまくいく」の共著があり、企業で働く人たちの介護相談に応じているNPO法人となりのかいごの川内潤代表理事(44)に聞いた。
――自分の親も後期高齢者になりました。将来、どうやって上手に介護サービスを使ったらよいかを知りたくて。
その介護って、誰のためのものですか? 介護の主体は誰でしょう。
――子どもである自分でしょうか。
そこです。本来、介護サービスを利用するのは、高齢者本人です。それなのに、いつの間にか主体が家族に変わってしまう。ここにもう、ゆがみが浮かんでいるのです。
――ゆがみ、ですか。
そこには、「親の介護の責任を子が取る」という前提があるはずです。親の面倒はできれば家族でみるという「常識」、マインドセットが、私たちの中に相当強くあると思います。
確かに、40年以上前の1980年は、現役世代7.4人で1人の高齢者を支えればよかった。「専業主婦」の人たちもたくさんいました。でも、今は2人で1人を支える時代。これだけ人口構造がガラッと変わったのに、私たちの意識はそこについていこうとしない。
私たちの法人ではこれを「親孝行の呪い」と呼んでいます。目を覚まさないと。
子はボロボロ、親に暴力…悲惨な現実が生まれる背景
――NPO法人となりのかい…